ファイヴ・フィンガー・ディスカウント(万引き)/ PHEW

 来月2日発売のphewの新譜。


 実は一ヶ月ほど前にサンプルをいただいていた。
 あまりの素晴らしさにいろんな人にそのことを伝えようと思いながらも、情報が公開されるまでは感想は言わないでおこうと思ってそのままになってました。

全曲カヴァー、参加ミュージシャンにジム・オルーク, 石橋英子, 山本精一, 山本久土, 山本達久, 向島ゆり子, bikke。
ジムさんのみ全曲参加。

 収録曲は、寺山修司作詞の2曲(「世界の涯まで連れてって」「時には母のない子のように」)、永六輔作詞/中村八大作曲の2曲(「どこかで」「夢で逢いましょう」)、中村八大作曲で水原弘が歌った「素晴らしい人生」、プレスリーの「Love Me Tender」、 坂本龍一「Thatness and Thereness」、加藤和彦/フォーク・クルセダーズの3曲(「オーブル街」「ふしぎな日」「青年は荒野をめざす」)。

 1曲目の「オーブル街」、イントロなのかサウンドチェックなのかよく分からないプラグノイズ(決してグリッチなんかじゃなくて)まで入った出だしが終わり、そこから始まるピアノとギターの音のあまりの美しさに愕然とする。
 そして更に驚くのがphewのヴォーカル。声が出てきた瞬間ハッとするくらいの(こんな言葉は簡単に使いたくないけど)存在感。

 いろんな感情が同時にそこに在るような尋常じゃない唄。だからどう反応して良いか一瞬途方に暮れる。

 喜びや悲しみや楽しさを表す唄というのはそれこそどこにでもあるし、またそれでももちろん素晴らしいのだけど、phewのヴォーカルは多分その全てが同時にある。

 だから今まであったこともないのにずっとよく知っている一人の人間が、突然目の前に現れたかのよう。

 だから、何かやりながら、なんて聴き方はできないな。ちゃんと向き合わないと押し流されてしまうくらいのものすごい力がある。
 
 その分、聴いた後の充実感はすごい。普段聴く音楽一ヶ月分くらいの充実感がある。

 これ、多分ものすごいアルバム。時がたてばもっとその意味が身にしみて分かるはず。
 

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