で、翌日ユーロスペースで映画「幽閉者」を見る。
難しいねー。いや言ってることは単純だしわかりやすいと思うし、個人的には面白かったのだけど、その独特の映画作りの語法みたいなものが多くの人に理解されるかと言えば疑問。
たとえば、ある特定の国や文化のイメージに縛られたくないという理由で、日本人が外国人の役を敢えてやったことも、単なる低予算ゆえの安っぽい作りと思われてしまうし、デジタルのペラッペラの画質も低予算故の安っぽい作りに見えてしまう。
別に多くの人に理解されなくても良いのかもしれないけど、ものすごく単純で簡単なことをなんでこんなにゴチャゴチャこねくりまわすのかな、とも思う。
だから女性の観客の評判はすこぶる悪いのもわかる。「うざー」の一言でかたづけられそう。
でも面白いと思ったのは、簡単なことを言うためにその簡単なことが簡単なこと以外でできているのですよ、ということをひたすら言おうとする姿勢。
普通の映画だと、言おうとすることが簡単に言えないからいろいろ複雑に表して言おうとする作り方だけどそれとは全く逆。
だから作り手の態度は潔くてすっきりしてるとも思うけど、それ故に逆にわかりにくいのかな。
次の日に同志社でのカヒミ・カリイさんのコンサートへ。
新作の「nunki」がかなり気に入ってるので楽しみに。
「nunki」は最初聴いた時には大友さん、ジム(オルーク)、ヤン冨田それぞれの曲の世界が違いすぎてとまどったけど、聴いていくうちに統一感も見えてきて全体として静謐でとても綺麗な世界を作ってるアルバムだと思えてきたのだ。
ただCMでも使われているヤン冨田の最後の曲だけは、やっぱりまだどうしても違和感がある。あれはカヒミさんの曲じゃなくてどうしてもdoopeesだもの。
「幽閉者」発売記念ライヴで会ったときの、カヒミさんの自信に満ちたような笑顔で期待できるコンサートになるだろうと予想していったけど、良かったな。
フランス語も中国語も分からないから、カヒミさんのヴォーカルは「声」という楽器だと思うし、カヒミさんはその楽器をうまく操る優秀なミュージシャンでもある、というのはONJOとの活動でもよく分かってた。(フランス語や中国語を理解できる人が聴いたらどう思うか聞いてみたい。)
だからこそカバー曲に歌詞の意味もなく語感が気持ちよい「風来坊」を選んだのも分かる。
噂の外山さんの水パーカッション(実際に水槽を用意)もCDとは全く違った感じ。
CDではその水音があり得ないくらいの距離感で耳元で聴こえるけど、ライヴだとやはり実際にステージで目にしてることもあり距離を感じる。
その距離感がまた心地よい。他の楽器、大友さんやジムのギターやロードリーのハープ等もCDとは違った距離感で心地よい。
と思っていたらサイン・ウェイヴのピー音が距離感無く耳元で聴こえてる。
そのなかでカヒミさんの「人の声」が微妙に間を取り持ってるように思えた。
「nunki」ほどのひりひりするような緊張感とは違い和やかな雰囲気もするコンサートだったけど、あの大きな会場であれだけの微妙な感覚を味わえて面白かった。

