offnoteの6枚組の鈴木翁二さんのジャケットの中でも一番目をひいたものは。
ヨアケノウタ 碧エルテルのジャケット。
ある田舎道、左手に湖(というより池か)右手に寂しげな平屋がひとつ。おぼろげに街灯が灯っている。
雨が降っているのか激しく風が吹いているのか斜めにうすく線が入っている。
中央の路に男が一人、白いコートにヴァイオリン・ケースを背負っている。
頭には帽子。右手を斜め中空にかざして人差し指で空を指し示している。
その男の前には野球帽をかぶった男の子が一人。
よく見るとその男の子にはしっぽがあり、手も耳もケモノのものだし、男を見上げる鼻先もとがっている。
男は少年の行く手を遮っているようにも見える。男の左手は少年の肩に置いてある。
激しい風が吹いて男のコートはたなびいているのに少年の服は何故か全く風の影響はない。
そういう情景が弁柄色一色で書かれている。
少年は「別の処」から来たのか、それとも「別の処」に帰ろうとしてるのか。
男は少年の行く手を遮っているのか、それとも少年の行く先を指し示しているのか。
男は無表情にもとれるけども見ようによっては慈愛に満ちたような表情にも、厳しい表情にも見える。
裏ジャケットには人間の少年が、角笛を吹くコートの男(ヴォイオリン・ケースは背負ったまま)と一緒に月夜に歩いている絵だ。
いろんな物語を考えてしまう。
このジャケットをいろいろ考えながら見ていつの間にか30数分経っていた。
たったCDサイズの絵にどれだけの話が隠されていることか。
と同時に昔レコードを買うとジャケットの隅から隅まで長い時間をかけて見ていたことも思い出した。
ジャケットの力、というのをもう一度よく考えても良さそうだ。

