ONJO、照明、仕事

ONJO、名古屋、京都見ました。CDを売らせてもらうついでに遊びに行っているようなモノなので、そういう立場で感想をいろいろ。


名古屋と京都では会場の大きさの違いが、音にも現れていてそれがおもしろい。特にSomething sweet,something tenderでは音の混ざり具合がまるで違う。京都では会場の一番後ろに座っていたから楽器の生音よりPAから出る音の方が大きい。名古屋ではやはり生音もよく聞こえる。不思議なことだけど生音がよく聞こえる名古屋の方が音が融け合っていたように思えた。PAから出ている音を遠くで聴いている方が融けそうなものなのに。

基本的にモニターから返す音は無し、でやっているそうだけどそれが演奏に大きな影響を与えているだろうことは間違いない。スピーカーからの音を頼りにするのではなく自然な音のバランスを聴きながら演奏を作っていくことで、勢いだけではないダイナミックさが生まれてると思う。

ところで京都での照明で思うこと多数あり。

舞台関係者(音響とか照明技師の人達)の多くが日常のルーティーン・ワークに陥り、演奏者側の意図を理解できない(しようとしない)人達が実は多くて、オーガナイザーとしては舞台関係者とどう良好な関係を作っていくかということもいつも大変な課題となる。

いつも「仕事」としてやっている通常の仕事のダンドリを疑うことなく、そのままの感覚で「仕事」をこなされても困るのだ。

京都でのONJOではたとえばlost in the rainの最初の部分、ずっと照明が暗かった。多分照明のオペレーターの人は、あれを単なるイントロだと思っていたのだろう。通常の曲のようにイントロ→曲→アウトロという概念から脱却できていないし、そうしようとも思ってもいないだろう。

照明は視覚的に訴えるモノだからとても重要だと思う。だから照明が勝手に曲に「ここはイントロ」と決めつけて曲の中になんらかのヒエラルキーを設定してしまうことはとても暴力的なことだと思う。

問題はあらかじめオペレーターに曲調によって照明を変えることはしないでくれ、と言う要望があらかじめ出されていたにもかかわらず、そうされていたことだ。

しまいには大友さんのコンダクションにあわせて照明を変えようとして(途中で指揮に合わせて光量を変えようとしていたところが2,3あった。)出来ずに中途であきらめた、という思い切り不細工なことさえあった。

舞台関係者の多くが自分のやっている仕事の根本的意味を問い直すことなく「仕事」をこなす人が多い、と言い切ってしまおう。

過去にもピーター・ブレグヴァッド、クリス・カトラー、ジョン・グリーブスのトリオをやったときに前日のインプロ・セッションの翌日、音響の人達が「昨日はどうやった?」「外人さんが遊んでいるだけや」という会話を主催者である俺の前で言い放ったことがあった。大人だから怒りはしなかったけど、以後2度とその業者には頼んでいない。

「仕事」としてやっているつもりならば、関係各者の意図を理解する努力も必要だし、理解できなかったら出来もしないことは無理にやらないようにする事も必要だと思う。これは主催者、演奏者、舞台関係者、共々相互に言えることなんで自分でも気を付けないといけないのだけど。

たとえばONJOのPAでも宇波くんのスピーカー、sachikoMのサイン・ウェーブを「楽器」としてちゃんと捉え得るかが重要な意味を持つ。だからこそGOKの近藤さんがずっとメンバーをしてついているわけだ。もし日常的にこなす仕事としてしかやれないオペレーターがやれば単なる「効果音」としての扱いしかできなかっただろう。そういう人達はONJOにおける石川さんの笙のもつ意味など絶対に理解できないと思う。

なにかモノをやる動機付けが「仕事」でしかない人が舞台に携わるのは大変問題だと思う。

今は幸いなことに多くの優秀な舞台関係者とも知り合えているから以前ほどそんな問題に直面することは少なくなったのだけど、久しぶりにいろいろ考えた。

“ONJO、照明、仕事” への2件の返信

  1. 照明については、反省しきりです。
    会場付きの業者を使わないといけなくなると、
    こちらのオーダーをどれだけ理解しているのかがわからない。
    出したオーダーは本当にシンプルで
    ・曲の中で照明を変えない
    ・照明での演出をしない
    これだけだったのですが、どちらも守られなかった。
    それなのに、自分の仕事を守る意識だけは高いので、やりにくい。
    無理をしてでも、いつものチームにお願いすれば良かったと反省しています。

  2. どうもお疲れさまでした。
    照明の件はしょうがないっていえばしょうがないですよね。オペレーターが最初から理解する事を放棄していたし。中には良い人もいるのだから、そういう人を捜しましょう。

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