批評?の続き(になるかな?)

先日あるテレビ番組で中高年の女子限定のフィットネス・ジムの取材コーナーがあった。
まさに仕込みがあからさまな感じで昼間から満員で全員が器具でトレーニングしている。


これは仕込みであることがばれようがばれまいが、作っている側は多分どうでもいいのだ。
おばさん達がフィットネス・ジムで運動しているという「空気」を見せることが出来ればそれでいいのだろう。だって見ている方だってぼーっと見てるだけだから、「ふ〜ん、こういうことがはやっているのかー。」という空気を伝えられればいいのだろう。

今のCDリリースの情報宣伝作業もこれと一緒みたいなもんやな。とにかく雑誌なんかのメディアに数多く露出させていかにもこれが今の主流、話題ですよという空気を作る作業。発売前にどれだけ情報を露出させることができるかが売り上げに作用する。

発売後にその内容の良さが伝わってじっくりと売れていく、ということは今は全く期待できない。
ショップの方だって回転を出来るだけ早くして話題になったモノを一気に売ろうとする。いつ売れるかわからないモノでスペースをとることは出来ないから、商売としてはしかたがないと思うけど。

その結果、いくら内容が良くても買おうとする人の前からCDが消えてしまう。そして長い年月の間、省みられることなく時間が過ぎていく。そのうち幻扱いになる。そして一部のマニアだけが「おれはこんなん知ってるぞー。」と自慢するだけのアイテムになってしまう。

だからどれほどむなしくても雑誌などのメディアで発売前からなるべく紹介してもらう努力をする。発売前からその内容を知ってもらうように務める。
そのためには「空気」つくりであろうがなんであれやらないといけないのだ。
とは言ってもそういう作業が逆に自分の首を絞めているような気がしてならない。
それは紹介ではなくて消化されているような気持ちになる。
see you in a dreamを初回オーダーで1000売るためにサンプルCD-Rを450枚作らないといけなかった、という笑うに笑えない笑い話が点滴を受けるほどの消耗につながったのは間違いない。

誤解の無いように言うけど、サンプルを要望してくれたショップやライターの方には多変感謝している。良いモノだと認めて売ろうとしてくれたのだから。

ただ現在のCD制作から売るための流れがどうにも納得いかないという気持ちは消えない。

そこで思い出すのが、渚にて、オルグ・レコードの柴山くんのやり方。サンプルは一切出さない、雑誌にレビューを依頼しない、ショップを厳選する、といったこだわりは最初は「こんなんで大丈夫なんかなー。」と思ったけど、結果は皆さんの知っているとおり。

自分としてはそこまでやる勇気はない、というよりもどういうやり方が良いのか全くわからない。

“批評?の続き(になるかな?)” への1件の返信

  1. 難しい問題ですよねー。私も「一切サンプルを出さない」というふうには徹底できません。自分が演奏して出すCDとかならまだしも、仮にもアーチストが私のことを信頼してくれて私のレーベルから出すので、広告宣伝をおろそかにすることはアーチストにとっても不利になると思うし...。
    原因は2つ考えられると思います。ひとつは雑誌メディアのパワー不足。もうひとつは小売店の巨大化による回転率重視の商品セレクト。まぁ石橋さんが言っていることと全く同じで、ちょっとコトバを変えてみただけですが(笑)。
    雑誌に関しては、私のブログにも以前書きましたが、広告出稿してもらった商品が大々的に取り上げられるような、レーベルと雑誌の生ぬるい関係性に代表されるように、雑誌の編集部自体に批評能力が全面的に欠けていること。これは個人的に大問題だと思うのですが、ほとんどの雑誌社はこれに関しては改善思考をストップさせているような気がします。リスクは負えないんでしょうね、やっぱり。相も変わらず2005年ベストアルバムとか、同じような企画満載で、ハッキリ言ってウンザリです。まぁそういう企画はやはり「売れる」んでしょうね。
    また、小売店の回転率は、まぁ商売だからしょうがないといえばしょうがないのかも知れませんが、日用必需品と音楽が同列の数値把握で考えられることが大いに問題だと思います。小売店はいま、セブンイレブンのように「音楽のコンビニ」化しているんじゃないでしょうか。個人でやっておられるお店の偏ったセレクトの何が面白いかと言えば、その店主の指向というか人間性というかが垣間見られる部分です。実際私も東京の「モダーンミュージック」という大変偏ったお店にとても育てられましたし。もちろん大型店舗でも担当バイヤーの趣向が思いっきり反映されているコーナーもありますが、現状としてはプライオリティは低いような気がする。
    いずれにせよ音楽家が真剣であるのにもかかわらず、それを取り巻く状況が完全に経済重視になってしまっている。ま、小売店は多額の協賛金さえ出せば、もっと大々的に展示してくれるし、雑誌は表2とか表4あたりにバーンとカラーで広告出稿すればガンガン掲載してくれますよ、悲しいことに。

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